さびついてきて

 裕太の真剣な表情を見ると、じいちゃんは笑う。

裕太がムッとすると、

「ごめん、ごめん、大丈夫だよ!

 少なくとも裕太が子供韓式新娘化妝のうちは、そんなことにはならないよ!」

廃校・・・という言葉に、少しナーバスになる裕太の頭を、

ポンポンと軽くたたいた。

裕太は、今まで少しも、気にしなかったのだが、この時ばかりは、

じいちゃんの寂しそうな顔を、初めて見た、と思ったのだった。

 

「とにかく、このジジイの頭も、さびついてきておるからなぁ。

 1度、見に行く価値はあると思うぞ」と言うので、

裕太も「そうだなぁ」と思い香港服務式住宅、大きくうなづいた。

「卒業アルバムとか、ないかなぁ」

裕太は、そういえば、と思い出します。

ここは、老人や仙人の出身地だと聞いている。

じいちゃんは、案の定、

「さぁて、ここには、あったかなぁ」と言いつつ、どっこいしょと、

重い腰をあげた。

 

 おじいちゃんが押入れに、頭をつっこんでいる様を、

裕太はみるとはなしに、眺めている。

まずは下の段に針灸療法、体を半分つっこんで、ダンボールを

どけて行く。

このところ、腰がいたくなった・・・とかで、物の整理をすることも、

ままならないらしく、増える一方だ。

おばあちゃんも、それに輪をかけて、肩こりがひどいから・・・と、

押入れの出し入れがおっくうらしく、ほとんどしていない。

たいがい、服の出し入れと、扇風機や、ストーブの出し入れが精一杯なのだ。

もうすでに、ダンボールの山で、魔窟の体を見せていた。