防衛のための城壁

台風の到来に戦々恐々とした時を過ぎ、
見上げれば突き抜けるような青い空が広がっている尖沙咀美容院
このような秋は実りも豊かで、
馬も秋の実りゆえの食に満ちているのか、いつになく肥え太っている。
このような季節を捉えて「天高く馬 肥ゆる秋」などと言ったりする。
本当は、この言葉、決して安穏とした様子を謳ったものではなく、
むしろ逆。起源は日本ではなく中国。
万里の長城は古くは秦の始皇帝が作ったとされるが、
これの目的は匈奴と呼ばれた外敵が侵入しないように防衛のための城壁。
外部からの侵入者は敏感肌、たいてい騎馬民族
それらの馬が越えられないような険しい山の稜線に沿って
頂上が築かれている。
これを越えていくためには、体力がある馬でなければ越えてはゆけない。
騎馬民族の馬が肥える時節は秋。
この秋が来たら「要注意」となる。騎馬民族の侵入に警戒せよという意味。
唐の時代の詩人・杜 審言の詩の中に「秋高馬肥」という言葉が出てくる。
これを読み下すと「秋高く馬肥ゆ」となる。
これも長詩の中の一節脫肛痔瘡。この詩の中で語っているのは
牧歌的な生易しいものではなく。
「秋高馬肥」になってきたから、努努(ゆめゆめ) 怠ることなく、
異民族の侵入に備えようではないかの意味となる。

考えてみれば、こんな風に、人間歴史は戦いの歴史。
レヴィ・ストロースの言葉に
「地球の歴史は人間なしに始まった。そして、人間なしに終わるだろう」。
我々は心のどこかで「地球最後の日」は「人類とともにある」ような
思いを持っているが、それは、人間中心主義の勝手な思い込み。
地球が滅びる時、人類は、とっくの昔に滅んでいるよ。

そうだろうな。それなら外的侵入など考えずに、暫し「天高く馬 肥ゆる秋」を楽しもう。
そんな秋です...